映画の素晴らしさ

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テレビで見ると「音が小さい」理由

映画は劇場公開中であれば、それが放映されている劇場でしか観ることができません。それはある意味当たり前です。映画館で観てもらうことが、その作品のビジネスです。テレビやインターネットで簡単に見ることができてしまうと、ビジネスが破綻するのです。

ただ、劇場公開がひと通り終了し、DVDやブルーレイなどのソフト販売も一段落ついたあとであれば、それはテレビで放映されることもあるものです。週末のテレビ番組で映画がやっているということは、私たちにとっては馴染み深いものなのではないでしょうか。映画観で観るほどでもないけれど、少し興味があるという映画作品に対して、「いつかテレビでやるのでは」と考えたことは、誰にでもあるのではないでしょうか。

モノの価値は時と共に変わっていくものです。その作品が、それ単体で収益を得られなくなるということはすぐに起こります。ずっと映画館で放映されないのは、ある程度の限界値が映画館放映にはあるからです。ソフト販売も同様です。「ずっと売れ続ける」ということは難しく、一度買った人に対しては2回販売することはできませんし、なによりも「レンタル」というシステムがあります。「買うほどでもないな」と感じた人はそれらの作品を格安でレンタルしてしまうのです。私たちは自分が気に入ったものに対して対価を支払うことを惜しみませんが、残念ながらその「価値基準」はシビアなものです。少しでも安く楽しめるのであれば、それでいいのです。

テレビで放映されるこということは、「無料でその作品を楽しめる」ということでもあります。「無料」は私たちにとって価値があることです。ただ、テレビで放送された映画を見ると、少し違和感を覚えることがあります。それは「音」です。

いつものテレビの音量でそれに接していると、なぜだか音が小さいのです。思わずボリュームを上げるのですが、テレビ番組である以上コマーシャルが挟まれます。それらのコマーシャルは音が大きいのです。これはなぜでしょうか。

それは、それらの映画が「劇場で放映されること」を前提に作られているからです。「音の強弱の幅」が、映画では広くとられているからです。映画館などでは通常のテレビよりも大きな音で放映されているため、それに合わせて音の表現が可能になっているのです。音の強弱は「ダイナミクス」とも言われます。それはそのまま「迫力」につながるのです。迫力はその作品の醍醐味ともなる重要な要素です。これらは一般的なテレビ番組では実現することができないものです。

各家庭で再生される音量などはたかが知れています。そのたかが知れている音量で誰もが聴きやすいものを作ることが、番組制作のマナーでもあり、そこには「迫力」などという要素よりも「聞き取れる」ということの方が優先されるからです。そもそもの再生環境に違いが生じる、それが映画と一般的なテレビ番組の差です。私たちがいつも視聴している番組と比べることで、その差は歴然になることでしょう。そのとき改めて、「やはり映画館で観るのが一番良い」と感じることになるかもしれません。その作品を楽しむために必要な環境というものが、確かにあるのです。

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