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サラウンドの凄さ

映画とテレビ番組の「差」として、「音のダイナミクスの違い」がありました。ただ、現在ではそれだけではないのです。「サラウンド」という言葉があります。それはその作品を構成するために必要不可欠な技術です。

「臨場感」とは何のことでしょうか。「臨場感」とは、「まるでその場にいるかのような錯覚を感じること」です。私たちは普段さまざまな音を耳にしています。音のする方向がわかったり、どれくらいの距離でその音が鳴っているのかわかったり、「聴覚」は生きていくために必要な要素です。私たちは最大で2つの耳しか持たないのに、それでもその音がどこから聴こえているのかが、わかったりします。それはある意味経験則のようなものでもあり、本能的なもの、直感的なものであるのですが、仕組みは明快です。

音は空気の振動です。そして耳は2つしかありません。その2つの耳にどのような角度で、どのような振動で侵入してきた「音」なのかということで、聴こえ方が変わるのです。「聴こえ方」は、空気の振動そのものです。音源の近くで聴くと音が大きいのは、その音の振動が減衰していないからで、遠くの音が遠くで鳴っているとわかるのは、その音が減衰し、かつさまざまな場所に共鳴しているからです。後ろから音が聞こえるとわかるのは、そのようなパターンの振動として耳に音が届くからです。

それらのことを鑑みると、「耳に届く音の振動」を再現することができれば、どのような聴こえ方でも再現できるということになりそうです。事実、その通りなのです。それを試みたのが「サラウンド」です。後ろから聴こえる音のパターン、前から聴こえる音のパターン、横から、遠くから、どこかから響いて聴こえるもの、などさまざまなパターンを解析して、再現することで、実際に自分の後ろから音が聴こえたかのような錯覚を観ている人に与えることができるのです。

それがサラウンドです。

5.1chのサラウンドシステムという言葉は登場してすでに10年経っているので、すでに一般化したものではないでしょうか。それは通常ステレオ、つまり「ふたつ」のスピーカーであるものを、物理的に数を多くして、実際に聴こえるような音の振動を再現しようとしたものです。それによってより迫力があり、臨場感のある音声表現を可能としたものです。頭上をヘリコプターが過ぎ去る様子が、映像と共にリアルな音声で再現されるのです。

最初は手前から、遠くから迫ってくるヘリコプター。そしてやがて辺りの空気を震わす轟音になり、頭上に達し、そして後ろへと去っていく。そのような表現がリアルに可能となったのです。それによって現代の映画はよりリアルに、よりダイナミックに表現されるようになりました。私たちはそれらを自然と受け入れ、それを自宅でも再現したいと考えるようになりました。そして登場したのが「ホームシアター」のシステムです。家電量販店などで試してみてほしいのですが、ホームシアターのサラウンドシステムは、実に精巧に作られています。一般的なテレビでは再現不可能な「音」が、体験できることでしょう。地響きを上げる恐竜の足音、飛び交う銃弾の音、まるでそこに自分が立っているかのような錯覚を感じることでしょう。

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